仕事や人間関係のことを考えすぎて、頭の中がモヤモヤでいっぱいになる。
「どうしてあんな言い方をされたんだろう」
「自分が悪かったのかな」
「明日も同じことが起きたらどうしよう」
そんなふうに考えが止まらず、気づけば気持ちがどんどん重くなってしまった経験はありませんか?
不安や悩みを抱えるのは、あなたが弱いからではありません。
むしろ毎日頑張っているからこそ、心が疲れてモヤモヤが頭の中に残ってしまうのです。
そんなときに役立つのが 「書き出す」というシンプルな方法。
紙やスマホに思いを言葉にするだけで、気持ちが整理され、心が軽くなる効果があります。
この記事では、
- 書き出すと効果がある理由
- 誰でもできる基本の書き方ステップ
- 仕事や人間関係にすぐ役立つ具体例テンプレ
を詳しく紹介します。
読み終えるころには、「悩みや不安をため込まない書き方」と「モヤモヤを解消するヒント」が見つかるはずです。
なぜ『書き出す』と効果があるのか?

人に悩みを話すと、少し気持ちが軽くなる。
そんな経験をしたことがある人は多いと思います。
でも「書くこと」は、それ以上の効果があります。
書き出す行為は、まるで自分自身と深い心の領域で対話するようなもの。
だからこそ、話すときと同じように気持ちを発散してすっきりできるうえに、
「自分は本当はこう思っていたんだ」「こんな価値観を持っていたんだ」と、新しい気づきに出会えるのです。
ここからは、その理由を脳や心理の仕組みを踏まえて解説していきます。
脳の仕組みと感情整理(外在化・客観視の効果)
人の脳は、一度に多くのことを処理するのが得意ではありません。
頭の中に不安や悩みを抱え込んだままだと、考えが同じところをぐるぐる回り続けてしまいます。
そこで役立つのが「書き出す」という行為です。
頭の中のもやもやを言葉にして外に出すことで、脳は「もう覚えておかなくても大丈夫だ」と安心します。
さらに、紙や画面に書かれた言葉は、まるで自分ではなく“他の人の考え”のように見えるもの。
この「外在化」の効果によって、自分の気持ちや状況を客観的に眺められるようになります。
その結果、ただ悩みを抱え込むよりも整理が進み、心の負担が軽くなるのです。
書くことで思考ループが止まる理由
悩みや不安が頭から離れないとき、同じ考えが何度もぐるぐると繰り返されます。
これは「反すう思考」と呼ばれ、気持ちをますます重くしてしまう原因のひとつです。
そんなときに有効なのが「書き出す」こと。
思考を言葉にして紙に置き換えると、脳は「もう処理済み」と判断して、同じ内容を繰り返す必要がなくなります。
また、書くときには「一度にひとつのことしか書けない」ため、自然と考えが整理され、行き場のないループが断ち切られるのです。
その結果、頭の中にスペースが生まれ、気持ちも落ち着いていきます。
書くことが心を軽くする理由は「ちゃんと研究でも確かめられている」
「本当に書くだけで気持ちが楽になるの?」
そう思うのは自然なことです。
実はこの効果は、心理の分野でも確かめられています。
たとえば「ネガティブな気持ちをそのまま書く」だけで、ストレスが減ったり、気持ちが落ち着いたりするという結果が報告されています。
むずかしい専門用語を知らなくても大丈夫。
大切なのは、あなたが紙やスマホに書き出した瞬間に、頭の中のモヤモヤが「外に出て」整理されるということです。
つまり「書く」という行為は、ただの気分転換ではなく、心を整えるためにちゃんと効果がある習慣なのです。
書き出しは「やり方次第」で効果が大きく変わる

ここまでで、「書き出すことには効果がある」というイメージはつかめたと思います。
ただし、やみくもに書くだけでは「かえって気持ちがぐるぐるする…」と感じてしまうこともあります。
大事なのは、正しいステップに沿って書くこと。
ちょっとした工夫を知っているだけで、効果は何倍にも高まります。
ここからは、誰でも今日から実践できる「悩みや不安の書き出し方の基本ステップ」を具体的に紹介していきます。
悩み・不安・モヤモヤの基本の書き出し方

「とりあえず思ったことを書いてみたけど、なんだかスッキリしなかった…」
そんな経験がある人もいるかもしれません。
実は、悩みや不安の書き出しにはコツがあります。
ポイントを押さえて進めることで、ただ吐き出すだけではなく、気持ちの整理や次の行動につなげることができます。
ここからは、誰でも取り入れられる基本のやり方を、ステップごとに紹介していきます。
書き方ステップ(出す→仕分け→次の一歩)
悩みや不安を書き出す方法はいくつかあります。ここでは、初心者でも取り入れやすく、続けやすい3つのやり方を紹介します。文章力は不要。浮かんだ言葉をそのまま書くだけで効果があります。
1. ポジティブ3行日記(寝る前/“よかったこと”を3つ)
目的:書くことへの抵抗を下げ、寝る前に気持ちを整える。
準備:布団の近くにノートとペンを置いておく(すぐ書けるようにする)。
やり方
- 寝る直前に、今日よかった出来事を3つ、一行ずつ書く。
例)
・朝、コーヒーがおいしかった
・同僚に「ありがとう」と言われた
・帰り道の風が気持ちよかった
つまずきやすい点と対処
- 「たいしたことが思いつかない」→ 小さなことでもOK(10秒の出来事で十分)
- 「毎日忘れる」→ ノートを枕元に常設。開いたまま置いておくと書きやすい
2. 書く瞑想(合計15分)
目的:その日の“消耗”を安全に吐き出し(放電)、ポジティブも意識的に取り込む(充電)。
共通ルール:消さない/止まらない/採点しない。出てきた言葉をそのまま書く。
やり方
- 瞑想(1分)
静かに呼吸に集中。「今ここにいる」感覚に切り替える。 - 放電ログ(3分) – きょうエネルギーを下げたことを箇条書き
例)
・仕事が21時までかかり長時間残業した
・YouTubeを見て寝る時間が遅くなった
・同僚の言葉にイラっとした - 放電セルフトーク(4分) – 今いちばんつらいことを問いかけながら書く
考え込まず、浮かぶ言葉を芋づる式に書き続ける。
- 充電ログ(3分) – よかったこと・助けられたことを箇条書き
例)
・朝の散歩で空気が気持ちよかった
・同僚が書類を手伝ってくれた
・帰りにお気に入りの音楽を聴けた - 充電セルフトーク(4分) – 今いちばん嬉しかったことを問いかけながら書く
考え込まず、浮かぶ言葉を芋づる式に書き続ける。
3. 感情を丁寧に書き出す方法(1シーン集中/7〜10分)
目的:表面のイライラや不安の奥にある本音・価値観を見つける。
対象:強く引っかかった出来事があるときに。
やり方
- 一つの場面を選ぶ(例:「今日の会議で上司に言われた一言」)。
- 五感で描写(短文でOK/事実ベース)
– 視覚:相手の表情・距離・姿勢
– 聴覚:声の調子・間・速さ
– 体感:胸の高鳴り、肩のこわばり、手の冷たさ
– 空気:部屋の温度、匂い、光
– 自分の未発言:その場で言えなかった一言
- やさしい質問を投げる(答えは短くてOK)
– どうしてあのとき、あんなにいらだちを感じた?
– 本当は何を望んでいた?
– どんなふうになっていたら嬉しかった? - 浮かんだ答えの中から“核”を一語で表す(例:尊重、公平、自律、丁寧さ)
→「私が守りたかったのは__」と一行で締める。
例えば…
場面:今日の会議で上司から追加のタスクを言われたとき
- 見えたのは:上司が腕を組みながら早口で「これもやっといて」と言った姿
- 聞こえたのは:強めのトーンで、こちらの返事を待たずに次の指示を出す声
- 体の感覚は:肩が固まり、喉が詰まって言葉が出にくかった
- 言いたかったのは:「まず決まった範囲で進めさせてください」
- 質問への答え:「なぜイラっとした?」→ 丁寧さを大事にしているのに、それを無視された気がした
- 守りたかったもの:私は仕事の丁寧さを大事にしている
→ こうやって書くと「怒りの奥にある価値観(丁寧さ)」がはっきり見える
時間・場所・ツールの選び方(紙/スマホ、破棄方法も)

「よし、書こう」と思っても、時間が取れなかったり、ツールが合わなかったりすると続きません。
ここでは 無理なく続けるための工夫 を紹介します。
時間:書くのにおすすめの時間帯
「いつ書くのがいいですか?」とよく聞かれます。
基本的に「決まった時間にやる」と続きやすいですが、それぞれのタイミングにはメリットがあります。
朝起きてすぐ
- メリット
寝ている間に頭に残った夢や不安を整理し、思考を一度リセットできる。書き出した状態で一日を始めると、気持ちの余裕が生まれる。 - 実践者の声
「朝イチでノートに書くと“今日やること”に意識を集中できるんです。前日の嫌なことを引きずらずにスタートできます。」
仕事に入る前
- メリット
業務を始める前にモヤモヤを外に出すことで、仕事に対する“構え”が変わる。余計な不安を抱えずにタスクに集中できる。 - 実践者の声:「出勤してPCを開く前に3分だけノートを書くようにしました。頭の中が整理されて“よしやろう”とスイッチが入ります。」
お昼休み
- メリット
午前中に溜まった小さなストレスをリセットできる。午後に引きずらないので、気持ちを切り替えて過ごせる。 - 実践者の声
「お昼に書き出すと午前中のイライラを引きずらなくなりました。午後は落ち着いた気持ちで仕事に戻れます。」
仕事終わり
- メリット
一日の振り返りを兼ねて、仕事のストレスを外に出せる。心に区切りをつけて、プライベートに切り替えやすい。 - 実践者の声
「残業で疲れていても、書くことで“今日の仕事はここまで”と線引きできます。家に帰っても気持ちを引きずりません。」
寝る前
- メリット
頭の中に残っている不安や心配を整理してから眠れる。睡眠の質が上がり、翌朝の目覚めが軽くなる。 - 実践者の声
「寝る前にモヤモヤを全部ノートに出すと、布団に入ったときに安心して眠れるんです。翌朝もスッキリ起きられるようになりました。」
補足:紙に書くなら「何回でも」OK
決まった時間を守らなくても大丈夫。モヤモヤしたときに何度でも書いて構いません。
「人に言えないことを紙に吐き出して、そのまま破って捨てる」だけでも、驚くほど気持ちが軽くなります。
場所:落ち着ける“自分の定位置”をつくる
- ベッド横(寝る前用)
布団に入る直前に書ける。3行日記や簡単な吐き出しに最適。 - リビングや机の上(朝/仕事前用)
決まった机にノートを置いておくと習慣化しやすい。出勤前や在宅ワーク前の切り替えにも。 - 通勤電車やカフェ(すきま時間用)
スマホのメモアプリや小さいメモ帳で短く書く。人の目が気になる場合は、箇条書きやキーワードだけでも十分。 - オフィス(昼休み/仕事終わり用)
机にノートをしまっておき、昼休みや退勤前にさっと書く。業務の区切りをつけやすい。
ツール:目的に合わせて選ぶ
- 紙ノート
– 感情が出やすい(手を動かすことで心も落ち着く)
– 書いた後に破って捨てると安心感が強い
– 長文や深い感情の整理に向いている - スマホ
– 移動中や仕事の合間など、思いついたときにすぐ書ける
– キーワードだけでも入力できるのでハードルが低い
– パスコード付きのアプリやクラウド非連携メモを使うと安心 - 組み合わせる方法
– 深い感情やじっくりした記録 → 紙ノート
– その場で吐き出したい思いつき → スマホ
– 習慣に合わせて、場面ごとに使い分けるのが続けやすい
書き出すときの注意点(ネガティブに偏らないコツ)

悩みや不安を書き出すときに一番気をつけたいのは、「ネガティブのループに入り込まないこと」です。
ただ愚痴を書き連ねるだけだと、逆に気持ちが重くなってしまうこともあります。
ここでは、効果を高めるための3つのコツを紹介します。
1. 書いたら「ここで区切る」と決める
- 同じ内容を何度も繰り返し書くと、気持ちが沈みやすい
- タイマーをセットして「3分で吐き出す」「ここまでで一旦区切る」とルール化すると安心
2. ポジティブ要素も必ず書く
- 不安や愚痴を出したあとに、よかったこと・助けられたこともセットで書く
- 放電と充電の両方を書くことで、気持ちのバランスが整う
3. 「次の一歩」で締める
- ネガティブを書いたままで終わらない
- 「明日できる小さな行動」「自分へのやさしい一言」を最後に書いておく
- 例)「今日は疲れた。→だから明日は早く寝よう」
仕事や人間関係で使える!書き出し具体例テンプレート

書き出しは「状況を思い出す」ことから始めると、感情が自然に出てきます。
ここでは、上司とのやり取りを例にしたテンプレートを紹介します。
書き出しテンプレートの流れ
- 状況を書く
そのときの出来事をできるだけ具体的に描写します。
- 本音を書く
状況の裏にある自分の本当の思いを言葉にします。
- 自分への質問を書く
過去の自分、もしくは心の中の小さい自分に問いかけるように書きます。
- 次の一歩を書く
感情を整理したうえで、今できる小さな一歩を決めます。
難しいことじゃなくていい。カンタンな一歩で大丈夫。
これを書いて「今の気持ち」を手放そう。
よくある疑問Q&A

悩みを書き出そうと思っても、こんな不安も出てきますよね。
そこで、実際の検索ユーザーが抱えそうな“よくある疑問”に答える形で整理しました。
最後に|悩みや不安を書き出すと気持ちも行動も整理できる

悩みや不安を書き出すことには、2つの大きな価値があります。
- 気持ちを外に出して軽くする
頭の中だけで抱え込むより、紙やスマホに言葉として出すことで安心できる。 - 自分を理解する手がかりになる
なぜつらかったのか、どんな価値観を大切にしているのかに気づける。
「何を書けばいいんだろう」と迷う必要はありません。
たとえ1行でも「いま、こう感じている」と書くだけで、心は整理されていきます。
大切なのは完璧にやろうとしないこと。
まずは1日3分、あなたが一番安心できる形で書き始めてみてください。
そして、もし「誰かに見てもらいたい」「自分の価値観をもっと深く知りたい」と思ったときは、ココハレ文通やココハレパーソナリティ診断を使ってみてください。
あなたの気持ちを安心して届けられる場所、そして自分をより深く理解できるヒントになります。
書くことは、あなたの心を守るシンプルで確かな方法です。
この記事が「今日からの小さな一歩」につながれば嬉しいです。