会話の返しに役立つテクニックは会話本を読んだり、困ったとき用のフレーズをいくつか準備しておくのも安心につながりますが、そうした工夫は“一時的な助け”にはなっても、“悩みそのもの”を消してくれるわけではありません。
多くの場合、その根っこには「人を楽しませなきゃ」「面白いことを言って笑わせなきゃ」という気持ちがあり、その優しさは自分に強いプレッシャーをかける原因にもなってしまいます。
笑いのある場はとても楽しいものです。
けれど本当に居心地の良い関係は、笑いがあるかどうかではなく、お互いが自然体でいられることから生まれます。
たとえば相手がボケてきても、じぶんが自然体で楽しんでいれば、わざわざ笑わせる必要はありません。
リラックスして心地よくいられることで場全体が少しずつ安心できる空気になっていきます。
結果的にその安心感の中にいると、不思議と相手の言葉に対しても無理なく返せるようになることがあります。
「返せない自分」を責めずに、少しずつ「安心できる空間」を育てていく視点を持ってみてくださいね。
あなたはこんな一面が隠れていませんか?
気配りさんタイプ
心理学では、人は「承認欲求」という“人に好かれたい・受け入れられたい”気持ちを自然に持っているとされています。相手の言葉にすぐ返せないとき、それはあなたが「どうすれば相手が心地よく感じてくれるだろう」と無意識に気配りしている証拠かもしれません。
つまり、返せない自分は劣っているのではなく、相手を大切にしたいという優しさが強く働いているサインなんです。
この思いやりは、安心できる関係を育てるうえで大きな強みになります
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承認欲求
「相手を笑わせなきゃ」と思ってしまう背景には、“人に認められたい”という承認欲求が隠れていることが多いです。これはごく自然な欲求で、多くの人が持っている心のはたらきです。
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会話が途切れたり冗談に返せなかったとき、「どう思われたかな?」と不安を感じやすい傾向があります。心理学ではこれを“社会的不安”と呼び、人との関わりを大事に思う人ほど強く感じることがあります。
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会話の中で沈黙があると、多くの人は気まずさを覚えます。けれど研究によると、沈黙を自然な時間として受け入れられる関係ほど、信頼関係が深まりやすいとされています。
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心理学では「ユーモアにも種類がある」とされ、 誰かを笑わせるタイプ 緊張を和らげるためのタイプ 自分を笑いに変えるタイプ などがあります。笑わせることだけがユーモアではないんです。